大阪地方裁判所 昭和48年(行ウ)85号 判決 1976年7月20日
原告 岡崎満昭
被告 西淀川税務署長 ほか一名
訴訟代理人 岡崎真喜次 三上耕一 ほか五名
主文
原告の訴えをいずれも却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 <省略>
理由
一 原告が昭和四五年分所得税につき被告署長に対しその主張のとおりの確定申告をしたところ、同被告が本件更正処分をしたこと、原告がこれを不服として同被告に対し異議申立をしたが棄却されたので、大阪国税不服審判所長に対し審査請求をしたところ、これが被告所長に対する審査請求として取り扱われたうえ、被告所長において昭和四八年七月一〇日本件裁決をしたことはいずれも当事者間に争いがない。
二 そこで、右裁決書謄本が原告に送達された日について検討するに、<証拠省略>によれば、右裁決書謄本は昭和四八年八月九日正午から午後六時の間に、大阪東郵便局大手前分室において書留郵便物として受領された(引受番号六九二)こと、同日同時刻に同郵便局同分室において同じく書留郵便物として受領された(引受番号七〇二)大阪国税不服審判所から和歌山税務署宛の文書が同月一〇日に同税務署に送達されていることが認められ、右事実に原告の住所が大阪市内であること、及び弁論の全趣旨(原告は当初、本件訴状において昭和四八年八月一〇日に本件裁決書謄本の送達を受けた旨主張していたのであるが、被告から本案前の申立がなされるに至り、受送達日の主張を同月一一日以後と変更するに至つたものであること)を併せ考えると、本件裁決書謄本は遅くとも同月一〇日には原告に送達されたものと推定するのが相当である。
三 ところで、本訴は被告署長のなした本件更正処分及び右処分にかかる被告所長のなした本件裁決の各取消を求めるものであるから、いずれも本件裁決があつたことを原告が知つた日から起算して三箇月以内にこれを提起しなければならないことは、国税通則法一一四条、行政事件訴訟法一四条一項、四項によつて明らかであり、この場合、その出訴期間の計算については、右法令の文理解釈上当然初日を算入すべきものと解される。しかるところ、原告に本件裁決書の謄本が送達されたのは昭和四八年八月一〇日と推認すべきことは前記のとおりであり、原告は同日本件裁決のあつたことを知つたものと考えられるから、本訴は遅くとも同年一一月九日までにこれを提起すべきであるにもかかわらず、本訴が同月一〇日に提起されたことは訴状に押捺された受付印によつて明らかである。
四 そうすると、本訴は行政事件訴訟法所定の出訴期間を徒過してなされた不適法な訴えであるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 奥村正策 辻中栄世 山崎恒)
別表<省略>